前にも書きましたが、私は文系大学の経営学部卒です。学生時代はオートバイに乗り、ツーリングや草レース、整備のようなこともしておりました。ネジを締めることはあっても、ネジを切ったことはありませんでした。
そんな私がサークルの先輩に声をかけられて、何も知らずに田野井製作所に入社したのが1997年。初めてハンドタップを使って手回しでネジ切りをしたのは、昨年(入社29年目)になってからでした。今まで散々メネジを拝見し、えらそうに評価しておりましたが…。私に講釈を聞かされた皆様、申し訳ありません…。
ただ悪いばかりでなく良いメネジも含めて見てきた穴数は、ゆうに1,000穴はくだらないでしょう。それと同じくらいの本数のタップも見てまいりました。そして多くの改善活動に携わってきたわけですが、今でも忘れられない教えをくださった方がいらっしゃいました。前述のO社の故・K課長です。
同社は工具室が改善活動をされるので、その方々とともに進めておりました。ドクターどころか駆け出しの私に、優しく厳しく、現実の改善活動を教えてくださいました。何度やっても不良を根絶できないでいたとき、
「不良率を下げるのと、不良をゼロにするのでは、根本的に方法が違うよ。」
…と。確かにおっしゃる通りです。率を下げるということは根本原因を残したままの改善策となってしまい、状況によってはまた増えてしまう可能性があります。対してゼロを目指すのであれば、物理的に発生しえない処置をとらなければなりません。
前者は相対評価、後者は絶対評価であり、“今よりマシ”のレベル感だけとなってしまいます。それでは全数検査もやめられないし、検査をすり抜けてしまった場合の予防策も講じなければなりません。
またなかなか満足していただけなかった思い出もあります。超硬タップの寿命延長をしていた時に、1,500個から6,000個まで延ばしても、「10,000個までいけるだら?」ですって(笑)。それには生産技術やK製造課長と苦笑いでしたが、そのK製造課長も「神様が言っとるで、やらなかんわー」とノリノリ。たしか8,000個まで評価して、6,000個を定数にしたと記憶しています。
その方は定年後にご勇退されたのですが、その後に海外で改善活動などをされていました。しかし不慮の交通事故でお亡くなりになりました。私も同時期にその国へ行っておりましたが、ご一緒させていただくことがかなわないままのお別れとなってしまいました。
無言の帰国をされ、お葬式にも参列させていただきました。引退された方にもかかわらず同社の多くの方々が参列されていたことからも、多くの方々から愛されていらしたんだと感じました。私の師匠(というのもおこがましいですが)ですが、多くの方々の師匠だったんだろうなと胸と目頭が熱くなりすぎました。
K課長。あのころ駆け出しだった吉川は、師匠に育てていただいたことを糧に、古巣であるO社を含め多くのお客様の改善活動をお手伝いできております。
その節は、大変お世話になりました。
そのご意思を私のお客様や後輩たちに語り継いでいきたいと思います。
あーまた胸と目頭が熱くなりすぎてますね…
