斜め締め対策におけるSL-TF試作評価
転造タップで形成されるシーム(繋ぎ目)にオネジが挟まってしまうことで、斜め締めが発生してしまう。
SL-TFによってシームを除去することで対策する。
使用サイズ:M5X0.8 6Hs
A:通常の転造タップ下穴径φ 4.60(88.2%)
B:SL-TF M5X0.8 B6 下穴径φ 4.58(92.6%)※サイドエンドミル刃径φ 4.24±0.02
ISO 6H内径規格…φ 4.134(100%)~φ 4.334(76.9%)
Aワーク(通常の転造タップ、88.2%) |
|
---|---|
口元 |
![]() |
穴奥 |
![]() |
下穴径φ 4.60(88.2%)での内径…φ 4.236(計算値)
Bワーク(SL-TF、92.6%)※切除して87.5%、φ 4.242 |
|
---|---|
口元 |
![]() |
穴奥 |
![]() |
下穴径φ 4.58(92.6%)での内径…φ 4.198(計算値)※切除してφ 4.242
考察
・SL-TFで山頂を切除したメネジの方がシーム(繋ぎ目)幅が広かった。
・オネジの山頂が食付いてしまいそうなシーム状態は、Ⓐワークが1/2周に対して、Ⓑワークでは1/3周とやや短い程度だった。
・通常の転造タップのめねじは山頂がトップロール気味であることから、88.2%以上に盛り上がっている状況
(しかし斜め締めは発生している)。
芯ズレの状態でオネジが挿入される際、不完全山がメネジに触れた瞬間(⇒)に傾きが発生する。傾いたままオネジが回転すると、
Ⓐ部がシーム部に勘合してしまいやすい。
内径を切除することで内径を大きくすることができ、オネジを奥へ入りやすくできる(⇒オネジを垂直方向に立たせやすくできる)
可能性が考えられる。
総評
斜め締めを発生させないためには…
・オネジを垂直に挿入させる(締め付け機の見直し)
・口元の不完全部距離を短くする(下穴径を小さめに設定)
・内径を大きめにする
※下穴径を大きくするとシームが広がり逆効果。SL-TFなどで山頂を切除して大きくする必要がある。
斜め締めが発生してしまっても…
・シームが浅ければ(SL-TFなどで山頂を切除すれば)回避しやすい。
以上より
下穴径を小さく設定し、SL-TFで内径を切除することで内径を広げ、シームを浅くすることで抑制しやすいと考えられる。
組付けテストにて評価・検証いただけたらと思います。